ごはんを食べない?|猫の食欲不振チェックと対策!

猫の偏食、もしかして病気? Uncategorized

いつもはモリモリ食べるうちのコが、突然ごはんを残した!
あれ?いつもよりたくさんごはんが残っているな…。

そんなときは、「もしかして具合悪いのかな」と心配で胸がざわざわしてしまいますよね。
実は、食欲が落ちる理由には「ちょっとしたきっかけ」から「体の不調」まで、さまざまなものがあります。
この記事では、愛玩動物動物看護師が、猫がごはんを食べないときの原因と、チェックポイントや対策を解説します。
「うちのコの場合は?」当てはまることあるかな、と思い返しながら一緒に考えていきましょうね。

まずは猫の様子を観察!「本当に食べない」かチェック

猫がごはんを食べないといっても、程度はどのくらいでしょうか?
まずは、冷静に観察してみましょう。

食べる様子は?
  • ごはんの場所に寄り付かない
  • ごはんを見に来るけど、すぐ立ち去る
  • おやつは食べるのに、主食には見向きもしない
  • 夜間や誰もいないときだけ少し食べている
  • 直ぐに食べ始めないか食べきらないけれど、時間をかけてほとんど食べきっている
食べた量は?
  • 食べ物を全く食べないし、水もあまり飲まない
  • ごはんは全く食べないけど、おやつは少し食べる
  • いつものごはんの1〜2割くらいしか食べない
  • いつものごはんの半分程度しか食べない
  • いつものごはんの7〜8割くらい食べる
  • ごはんは食べる量が少ないが、おやつなど好きなものはたくさん食べて欲しがる
  • 時間はかかるけど、最後には食べきっている

まずは愛猫をじっくり観察してみましょう。

生後4ヶ月までの子猫や、嘔吐や下痢、震えなど、明らかに食欲以外の症状があるときには、すぐに動物病院に相談してくださいね。

食欲以外に症状はないんだよなー、というときは半日〜1日くらいで食欲の程度や食べる様子を確認してみましょう。
動物病院に行く前に症状をしっかり把握しておくことで、診断や治療にも役立ちますよ!

🐾実際にあった飼い主さんからの相談

▶️ おやつは食べるけど主食はNG?:選り好みのケース

「ごはんを食べない」と心配して来院された飼い主さん。
よくお話を聞くと、おやつは欲しがって食べていて、心配するあまり1日になんどもおやつをあげてしまっていたということがありました。

つまり主食には飽きていた、あるいは選り好みしていた可能性が高いということですね。
飼い主さんの心配によっておやつで食欲を満たしてしまったことで、余計にごはんを食べなくなることもあります。

▶️ 静かな異変がヒントに:体調不良のケース

一方で、「ごはんを食べない」として来院された別の猫ちゃんと飼い主さん。
ごはんは食べてはいるけれど、いつもの半分くらいで残していたとのこと。
また、同じ所で隠れてじっとしている・トイレに頻繁に行っている・いつもと違う場所にいるなど「静かな異変」がみられました。

この場合は、体調不良の症状としての食欲不振が考えられますので、早めに通院しましょう。
食欲の程度も重要ですが、他の症状と合わせて考えることで緊急性があるかどうか判断しやすくなりますよ。

食べない原因は?考えられる7つの理由

猫がごはんを食べない理由はさまざま。年齢や環境、体調によっても変わってきます。
うちのコはどれに当てはまりそうかな?と考えてみてましょう。

💡主な原因7つ
  • 環境の変化(自宅に迎えたばかり・引っ越し・模様替え・家族が増えた)
  • ストレス(発情ストレス、飼い主の構いすぎ、刺激不足、運動不足)
  • ごはんに飽きた(猫は同じごはんを食べ続けることを避けようとする本能がある)
  • ごはんに警戒している(フードや食事場所の変更、ごはんに薬を混ぜたことがある)
  • 縄張り意識が高まっている(同居猫と仲が良くない、窓の外に野良猫が見える)
  • お口のトラブル(乳歯の生え変わり、歯周病・口内炎)
  • 体調不良(感染症、消化不良、関節炎、膀胱炎など)
  • 加齢による嗜好の変化(持病の悪化や、運動量が減ることも要因)
  • 季節の変わり目(猫は気温や湿度、天気に敏感に反応してしまう)

猫は様々な変化にとても敏感な動物。ちょっとしたことでも「なんかいやだニャ」となることも。
飼い主さん自身はあまり気にならないことでも、猫ちゃんにとってはすごく負担だった、ということがあるかもしれません。
「最近なにかあったっけ?」と、思い返してみてくださいね。

🧸子猫?シニア猫?ライフステージによって理由が違う場合も

子猫の場合:
生後6ヶ月頃までは消化器がまだ未熟なので、ほんの少しの不調でも食べなくなることがあります。
特に生後4ヶ月までの子猫は、成長に必要なエネルギーがとても多いので、エネルギーが供給されないとすぐに不足してしまいます。
エネルギーが不足したときに使う予備エネルギーを蓄えておくことも成猫ほど上手ではないため、低血糖症状を起こしやすいんです。

また、生後4−6ヶ月の間に乳歯の生え変わるため、歯の違和感から食欲が低下する時期がありますし、成長期は体の成長に伴って、食欲や食べ方の変化も起きてきます。
成長に伴う一時的な食欲の変化なのか、体調不良によるものなのか、特に注意深く観察しましょう。

若い成猫:
1歳〜6歳くらいの成猫で急にごはんを食べなくなった場合は、他の症状と合わせて緊急性を判断することが重要です。
特に緊急性が高いのは、以下の項目に当てはまる場合です。

緊急性が高い状況は!?
  • 食事や水を1日に何度も、頻繁に吐いている
  • 紐や布、ゴミなど、食べ物以外のものをいたずらしていた
  • 普段大丈夫なのに、抱っこしたり触ると怒る
  • 呼吸が荒く、ウロウロして落ち着かない
  • 頻繁にトイレでいきんでいるが、何もでない

こういった場合は、症状を的確に伝えられるように準備して、すぐにかかりつけの動物病院に連絡してみましょう。
すぐ通院すべきなのか、様子をみても良いのか相談できますよ。
かかりつけ動物病院が対応できない時間帯の場合は、ネット相談や電話相談の窓口を利用すると夜間や休日でも安心です!

シニア猫の場合:
加齢で嗅覚・味覚が鈍くなったり、病気のサインが隠れていたりすることも。
ほんの少しの変化でも、長く続く場合は注意が必要です。
食欲の程度やその他の症状以外にも、以下のことに注意しておくと良いですよ。

シニア猫は自宅での定期チェックが重要!
  • 毎月体重を測って記録する
  • 尿量やトイレの頻度の変化に気付けるようにしておく
  • 歩き方や元気さを確認するために、おもちゃで遊ばせたり、歩いている様子を動画で記録しておく

シニア猫の体調の変化は、ゆっくり少しずつ進行していくことがあります。
あれ?と気づいたときにはすでに症状が進行した後、なんてことも少なくないんです。
特に、若いときに大きな病気や怪我をしなかった猫ちゃんは要注意!
体調不良のときに、愛猫がどんな様子になるのか、どうしたら回復しやすいのかを猫ちゃんも飼い主さんも経験不足なために、気づくのが遅くなりがちです。

また、すでに治療中の持病がある猫ちゃんは、副作用など薬の影響について、事前に担当の獣医師に確認しておきましょう。
薬の副作用で食欲が落ちてしまった場合は、投薬量や薬の間隔を調整する可能性があります。
薬のせいだからとはいえ、食事が取れないのは体に良くないですよね。
病気と戦うためには栄養が必ず必要ですので、副作用が強いことをしっかり報告して、治療法について改めて相談してくださいね。

🐟与えてはいけないNG食材・NG製品を与えてない?

猫が食べてはいけないものは、家の中のあちこちに存在しています!
「え?これもダメなの?」
というものもあるので、猫ちゃんがいたずらしないように厳重にしまっておきましょう。

猫に与えてはいけないもの
  • ネギ類(玉ねぎ・にんにく・ニラ)
  • チョコレートやカフェイン
  • アルコール、酒精のあるスイーツ
  • 生魚・生肉(食べ慣れてない猫の場合)
  • 骨をとっていない焼き魚(骨は加熱することで消化しにくくなる)
  • 牛乳、ミルクアイスなど(乳糖不耐症の猫が多い)
  • 人間の味つきごはん(塩分・脂肪過多)
  • 犬用のフードやおやつ(猫には消化に悪く、中には毒性があるものもある)
  • 観葉植物(猫草以外の植物はNGのものが多い)
  • アロマオイル、エッセンシャルオイル(芳香剤や化粧品などを含む)

「隠していても、いつの間にか見つけてきていたずらされて…」
その気持ち、よくわかります。猫って頭良いんですよね。
猫が食べてはいけないものは、原則家の中に置かないのが一番。
より安全な隠し場所は、鍵付きの戸棚や冷蔵庫の中にいれることです。
ちょっと面倒ですが、場合によっては命に関わることなので、気をつけましょう!

すぐにできる!食欲を刺激する工夫あれこれ

猫ちゃんがごはんを食べたくなるような工夫についてご紹介します。
どんな方法が「うちのコ」に合うか、色々試してみましょう!

◎食事環境の見直し

猫ちゃんが落ち着ける空間になっているか、念の為食事環境をみなおしてみましょう。
食事の場所は、慣れていればケージの中や、部屋のコーナー、壁際など、視界が遮られると落ち着いて食べやすくなります。

食事場所から遠ざけた方がよいもの
  • 音の出る家電やテレビなど
  • 猫用トイレ
  • 人通りが多い場所、扉など
  • 外の様子が見える窓の近く

◎運動量の見直し

特に寝起きは腸が活発に働いていないため、食欲がわかない子もいます。
食事の時間の前に少しおもちゃで遊ばせましょう。
運動すると腸が活発に動き始めるので、お腹が空いたと感じやすくなります。

◎総合栄養食のウェットフードを与える

総合栄養食のウェットフードは、ドライフードの代わりに主食として与えることもできます。
食事から水分を補給できるので、腎臓の負担軽減や泌尿器の病気予防にも◎。
ドライフードと併用するのもおすすめです。

◎数種類のフードを並べて置く

その時の気分で食べたいものを食べられるように3種類程度、別々のお皿に用意してみましょう。
日によって食べたいものが変わってしまう、飽きっぽい猫ちゃんにはよい方法です。
注意しないと行けない点は、太りやすい猫ちゃんにはあまり向かない方法です。
食べ残しはもったいなく感じますが、衛生面を考えて破棄するようにしましょう。

◎少量ずつ与える

実は、もともとの猫の食事回数は1日10回以上が正常なんです。
1日2−3回の食事回数では、すぐに完食できなくても仕方ないかもしれません。
自動給餌器を使って、少量ずつこまめに与える方法や、好きなタイミングで食べられるようにしておくのも効果的です。
毎日食事の場所を変えて、お皿を部屋のあちこちに置いておくのも良い方法です。
家の中を探索しながら、楽しく食べる事もできますよ。

◎フードの風味を変える

猫は食べ物の味よりも、じつは【匂い】と【食感】のほうを重要視しているんです。
ドライフードやウェットフードフードは、数秒レンジで温めると匂いが立って食欲を刺激します。
ドライフードのパッケージに「出汁パック」入れておくと匂いがうつって風味が変わりますし、猫用ふりかけを少しトッピングしてもよいでしょう。

◎器を変えてみる

猫の食器は、ある程度重さがあり、食べている時にガタガタしない器がおすすめです。
台に乗せたり足つきの食器など、少し高さをつけると更に食べやすくなります。
器の好みは猫それぞれですが、ステンレスやプラスチックよりも、陶器や透明な器を好む猫が多いです。

🍽 フードローテーションのコツ

猫はもともと自分一人で狩りをして、好きなように獲物を選んでいた生き物。
好きなものばかりを選んでいたら栄養バランスに偏りがでてしまうので、同じものを連続して食べないようにするという本能があります。
そのため、フードに飽きてしまうというのも自然なことです。

飽きっぽい子には、定期的にフードを変えてあげる「フードローテーション」がおすすめですよ。
ローテーションに使うフードは、今まで与えたことのあるもので体質に合っているもの、比較的好みのものを選んでみてください。
毎回2−3種類あげて好きな方を食べられるようにしてもいいですし、日替わりや、フードを1袋食べきる毎に変更するなど、いろいろな方法があります。
初めて食べるフードは、ほんの少量から与えて、徐々に量を増やすようにしましょう。
いろいろなフードをあげるので、アレルギーやうんちの状態には注意してくださいね。

💡試してよかった実例

◎ステンレス皿から陶器に変えたら食べてくれた!

ステンレス製の食器に慣れていないと、猫は自分の顔がお皿に映ってびっくり!なんてことも。
お皿を変えるだけなので、すぐに試せるのもいい方法ですね。

◎時間をずらして夜に出すと完食

特に、家族が多い、または同居のペットがいるご家庭だと、落ち着いてごはんを食べられない猫猫ちゃんもいます。
みんなが寝静まってからのほうが落ち着いてたべられるかもしれません。

◎新しいフードで目の色が変わるように食べた

猫がフードに飽きてしまうのは、もともと持っている「本能」が原因。
猫ちゃん本人にもコントロールできない領域なので、甘えてる!と言わずに新しいフードをためしてみてください。
もちろん、警戒心からすぐに食べ始めないことも多いので、新しいフードは1回だけでなく、数日間毎日あげてみましょう。

「そんなことで!?」がヒットすることもありますので、ぜひいろいろ試してみてくださいね。

病院へ行くタイミングと伝え方

食欲不振は、体調不良の重要なサインです。
もちろん、他の理由の場合も多いのですが、調子が悪い可能性は否定せず、万が一のときには早めに受信するのが一番ですよね。
どうゆうときに動物病院に行きべきなのか、解説します!

🐾1日以上なにも食べないなら即受診を!

じつは、猫は絶食にとても弱い生き物です。
特にたっぷり脂肪を蓄えた、まんまる猫ちゃんは超危険です!
たった3日間の絶食で、肝臓に脂肪が蓄積し、自分で排出できなくなる「肝リピドーシス」という病気に発展します。
「肝リピドーシス」は入院治療が必要になることが多いので、全く食べてない場合には早めに受信しましょう。
様々な理由で食欲がすぐには出ないよ、という猫ちゃんは、鶏肉や魚など消化によいタンパク質を少しずつ食べさせて「肝リピドーシス」にならないように予防してあげましょう。

📔診察時に役立つメモ

猫は自分で症状を伝えられないので、動物病院ではご家族から問診をとります。
家での様子は病院ではなかなか見せてくれない子も多いので、スマホで動画を撮っておくのもおすすめ。
病院の待ち時間などを利用して、伝えることをまとめておきましょう!

診察の前にメモをチェック
  • 食べなかった期間と日数(いつから?)
  • 普段と比べて何割くらい食べている?
  • 今使用中のフードとおやつの名前
  • 最近の環境変化(家族の出入り、気温、模様替えなど)
  • うんち・おしっこの状態、1日の回数
  • 吐き戻しの有無、回数

まとめ:小さな変化に気づくことが、大きなケアになる!

猫がごはんを食べない…それは飼い主さんにとって見逃せないサインです。
「猫の特性」や「成長の一貫」から「体調の異変」まで、原因はさまざま。
どんなときも「うちのコ」を守るのは、飼い主さんの観察と愛情です。

無理せず、でも放っておかず、できることから一歩ずつ。
何かあれば、いつでも相談してくださいね。
あなたの気づきが、うちのコのいちばんの薬になりますよ🐾

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